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思ひで(10)それぞれの想い

ライヴを終えた後は、
いつもナチュラル・ハイになる。

そして、この日は初めて体験した感覚に
かなり、酔っていた。

歌い終わり、
お客さんの席に戻ったあたしに
一人の女の子が近づいてきた。

全く知らない女の子だった。

彼女は
「とても、よかった」
と言って泣いていた。

あたしの歌を聴いて、
一人の女の子が泣いている。

初めての経験だった。

「大阪を離れて、故郷の東北へ帰るんです。
いい思い出ができました。」
と、言ってくれた。

ドラマのような本当の話。

「雨のドライブ」はせつない歌だ。
彼女は大阪で、「雨のドライブ」のような
そんな、せつない恋をしたのかもしれない。

それを思い出して、涙したのかもしれない。
でも、あたしは、そんな彼女の涙で
もっと、歌っていこう。

と、思った。


曲に合わせて、
皆それぞれ、自分の人生を重ね合わせる。
だから、歌って、素敵なんだなあ。。!


***雨のドライブ***

雨が降る こんなたそがれは
あなたの車で どこまでもいきたい
遠ざかる街の灯は まるで
置き忘れた過去 うつしてるみたいよ

大人らしく 寂しさをこらえ
タバコふかす 
あなたが 大好き
このままで 夢をみていたい
せめて 雨の音
小さくなるまで

ふと触れた 指のぬくもりに
罪を感じても 帰れない今夜は
シグナルの青い光さえ
二人の心を 許してるみたいよ

わがままな 私を横目で
見つめてる 
あなたが 大好き

夜のハイウェイ  言葉も交わさず
誰からともなく かさねた 口唇

かさねた 口唇

              by  竹内まりや

思ひで(9)衝撃

アコースティック・ライブは
夜の7時ごろからスタートした。

出演バンドが多いので、
演奏を聴いているのは
出演を待っているミュージシャンと、
歌を聴きにきたお客さんとで
入り混じっていた。

その日のあたしは
大好きな2曲を歌えることが、
本当に嬉しかった。

演奏が始まり、歌いだした時

今までにない、感覚があたしの足先から
頭の先まで走り抜けた。

ピアノとギターの心地よさに

鳥肌がたった。

自分の立っている場所は
大阪のちいさなライヴハウスなのに

その一瞬だけは、
地球上のどの場所でもなく

大空の星の中に、

ただ、ギターとピアノとあたしだけの

トライアングルが浮かび上がった。

音の洪水が体に溢れて
光の海になって、体の中ではじける。

好きな人とひとつになる、快感。

おいしいものを食べて
幸せな気分になる快感。

どれともちがう。

でも、同じくらい気持ちいい。

そんな感覚になったのは
少なくないライヴ回数の中でも
現在に至るまで、
指折り数えるほどしか、ない。

このまま、ずっとこうしていたい。
終わりたくない。

そんな風に思った。

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